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仕事においてウェブ解析士に求められる人物像

ここで会員向けにウェブ解析士の人物像を伝えます。

ウェブ解析士は、一般社団法人ウェブ解析士協会が提供する資格ですが、国家資格の会計士や社労士同様、実務に関わる資格です。この資格はウェブ解析を使い、事業の成果に貢献できる人材を輩出することを目的としています。

しかしウェブ解析士は単なる民間資格です。国家などの後ろ盾がない以上、私達ウェブ解析士協会ができることは、結果を出すことです。つまりウェブ解析士を獲得したなるべく多くの人材が、なるべく多くの企業で仕事をし、事業の成果に貢献すること以外、私達が有用であるという結果を出すことはできません。

そこでウェブ解析士協会は単に教育と認定資格を提供することは手段であってゴールではありません。資格をもつ有資格者の皆様が最も重要な「製品」であり「クライアント」でもあります。ウェブ解析士を持つ皆様には、他の有資格者からお手本となるようなお仕事を目指してほしいと思います。

ウェブ解析士には行動規範があります。この内容がウェブ解析士として仕事をする上で求められず人物像はここに集約されます。

  1. 事業の成果を上げ、産業を振興します
  2.  顧客主義を貫き、行動します
  3. あらゆるデータと真摯に向き合います
  4. 誰もが機会を得るため、実務と教育を両立します
  5. 顧客情報の保護と実務経験の共有を両立します

言い換えると、行動規範に沿わない行動を行う有資格者は資格の失効、停止になる可能性があります。ご注意ください。

プロフェッショナルであること

プロは必ず成果を挙げられるか、というと残念ながらそうではありません。成功も失敗もします。

プロフェッショナルとアマチュアの違いは何でしょうか?

プロフェッショナルとはなにか、色んな意見があると思いますが、「知り得て害をなさない」が必要条件だと思います。

クライアントはプロに比べ必ずその業界において知識、能力、経験が劣っています。だからプロに有償で仕事を依頼しています。だからプロはその持つ知識、能力、経験を使い、クライアントに貢献することが求められるのです。自分の持つ知識、能力、経験を使い、クライアントではなく自分の利益ために用いるのはプロフェッショナル失格です。

プロフェッショナルとは“profess”「宣誓する」からきていて、本来、聖職者や学者、法律家、医者のみに使われる言葉でした。神に誓って、どんな仕事も専門家として恥ずかしくない仕事をすることがプロです。

そしてプロにとって、仕事は全て、自分の生き様を表す作品です。どの作品も自分の生き様として堂々と示せるようにすることです。そして一つ一つのクライアントの成果に貢献すれば、それは一つの成功事例となり、産業にとってプラスになります。ウェブはまだまだ社会で使われていません。成功事例を1つ増やせば、それだけ誰でもウェブを使って成功できる社会をつくることができます。

「事業の成果を上げ、産業を振興します」とはそういうことです。

顧客の規模や立場を見て、仕事の手を抜かない

医者がお金儲けのために、ありもしない病気をでっちあげ、手術で高額なお金を患者から要求したら、最悪だと思うでしょう。

ウェブ業界ではこういうことが普通にあります。
あきらかにクライアントが使えないようなサービスを売っている会社もあります。
言葉巧みに高額なサービスを分割などで納品する企業もあります。
何の効果もないサービスを、効果があると言って売っている会社だってあります。
そしてインターネットを健全に使おうとするときに、人を騙し、誤った判断をさせてしまう情報にあふれています。

私達はそのような状況を正そうと思います。その軸足にあるのは顧客主義です。仕事を依頼するクライアントの大小や立場で仕事を差別してはいけません。できない仕事は断ればいいですが、そのような規模や立場で仕事の手を抜くのであれば、仕事をしないようにしてください。

どんなに優れた技術でも、解析データでも、一番尊重されるのはユーザーであり、そのユーザーにサービスを提供するクライアントであるべきです。何でも言うことを聞く、ということではありません。一番重要とするべき優先順位を指しています。

「顧客主義を貫き、行動します」とはそういうことです。

データを否定せず批判的に捉え、行動すること

私達にとって扱うデータは消費者行動データです。このデータはあやふやなものです。外的要因内的要因でどんどん数字は変化するし、正しいデータと間違ってるデータの区別もつきにくいものです。だからすべてのデータが正しいのか?と疑ってかかることが求められます。何らかのバイアスがかかっているという前提で疑ってかかってください。

一方であらゆるデータを否定しないでください。これは古すぎる、新しすぎると自分が知らない情報は無視しがちです。しかし私達が無視したら、もう誰も使わないデータなってしまいます。私達の無知が原因なのですから、理解してから判断をしてください。

そして行動を促してください。ただ数字から分かる事実を書くだけならば、私達は不要です。「知行合一」という言葉があります。知っていて行動しなければ知らないのと同じ。私達が知った事実があれば、自分が動き、クライアントを動かし、ユーザーを動かす行動をしなければ、私達はプロではありません。

「あらゆるデータと真摯に向き合います 」とはそういうことです。

プロによる教育の人間関係を構築する

パイロットの教官は、飛行機を飛ばす人しか教官になれません。ウェブ解析士を教える人はウェブ解析を実務でウェブ解析士は実務家しか教えられません。また、ウェブ解析士の資格は実務をする意欲がある人しか資格を維持できません。レポートを書き、最新技術を理解し、実務で貢献する意欲がない人は私達と行動をともにするには不適切だからです。そして、私達が企業に胸を張っておすすめできるプロの人材でもないからです。

ウェブ業界はたった30年で多種多様な業種が生まれました。そして驚くべきスピードで利用が高度になり、容易になり、複雑になっています。その中で自分のスキルや知識を付加価値と考え、積極的に周りに公開、共有できない人もいます。しかし自分のノウハウや知識を隠していることより、それらを共有したほうが、何十倍も活かせることを、私達は知っています。信頼と周りからのさらなるインプットが自分の能力を何倍にも広げることができるからです。

実務の人間関係は、技術にお金を払い、受け取る人間関係です。知らない人スキルがない人はお金を払ってお願いするしかありませんし、それが収入源です。しかし教育の人間関係ではお互いが能力を高める人間関係だから、知らない人が教わり、知る人が教えることでお互いが高まることを喜びとします。

プロフェッショナル人材が、教育の人間関係で、自分ができないことを他の人と一緒に高め会える場、それがウェブ解析士協会です。

自分の知識とスキルに閉じこもる人、教えるばかりで実務で貢献できない人はウェブ解析士協会が考える理想の人物像ではありません。

「誰もが機会を得るため、実務と教育を両立します」とはそういうことです。

情報の秘匿と共有が存在価値を決める

私達があつかう情報はますます危険で重要な情報になっています。扱う消費者行動データは個人のプライバシーに抵触する情報が増えています。そして多くの消費者はその情報を勝手に扱われることを拒否しています。
いまやインターネットはあらゆる企業のあらゆる分野で欠かせないサービスになっており、その戦略は企業の命運を握るものとなっています。このような戦略情報や方向性は、競合他社に漏れるようなことがあってはなりません。

私達は、このような個人や法人にとって重要かつ危険な内容をあつかってることを強く自覚すべきです。だから契約書や覚書などで、彼らの不安を解消することをおこなってください。さらに当然ながら不要な情報を無意味に収集してはいけません。

一方で実務の経験が私達にとって最大の教科書であり、学びにつながります。クライアントやユーザーの不安を取り除いた前提で、なるべく自分の得た知識、経験を他の人に公開、共有する機会をつくってください。

前述の情報の管理と一見矛盾しているように感じるかも知れませんが、それは違います。私達はコンサルティングをするときに、何らかの経験をもとに行います。当たり前ですがすべての案件とクライアントは置かれている状況が全く違います。同じ案件は二度とありません。

その中で私達は過去の経験を、企業や個人の秘密情報を公開せずに、他のクライアントや専門家が求める答えに変換する能力を必要とします。この公開情報にするために、話の内容を変えることも求められている重要な能力です。

最後に、ウェブ解析士が企業の事例等を公開するときは必要な許可をその企業からもらう必要があります。その許可は、事例を公開する前と、公開した後と、2回許可を受けなければいけないということを覚えておいてください。

このような情報の秘匿と共有の両方ができることが私達に求められている仕事だと思ってください。

「顧客情報の保護と実務経験の共有を両立します」とはこういうことです。

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